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木曜日, 9月 06, 2007

波乱の時代


 18年間にも渡ってFRB議長を務めた、グリーンスパン氏の回顧録だけど凄く面白い。 超お勧めで、この本を買ってから既に3回も読み返した。

 経済に疎い私は、このような本を読んでも大抵はチンプンカンプンなんだけど、小難しい話も意外と親切に説明されているし、何よりも人間グリーンスパンについて書かれている部分が多くってそれを楽しめる。

 テレビで見ていたグリーンスパン氏は、「もの静かで頭は切れるけど、明言はしない」どちらかと言うと、哲学者のような印象だったけど、実は「自分の発言が、 メディアを通じて世界に発信された結果、投資家がどのように捉え、結果として世界経済にどのような影響を与えるか考えた上で」のことだったと言う。 もちろん「立場をわきまえた発言」っていうのは、言ってみれば当たり前だけれども、「自分の発言がどのように受け取られ、それがどのように影響するか」ま でを、きちんと考えて発言できる人は、決して多くないと思う。 この本によれば、グリーンスパン氏は心理面にも興味を持ち、そのような事を意識して発言していたとのこと。 凄い!! これは簡単には見習えないが目標としたい。
 もう一つ印象に残ったのは、FRB議長という世界経済を牽引する立場にいた人でありながら、

「リーダーシップを発揮することに居心地の悪さを感じる」

と 言う部分。 ここは私は、とても共感できる部分だった。 強い個性とカリスマ性を持ってグイグイ周りを引っ張って行く、そんな風に強いリーダーシップを発揮できる人がFRB議長だと考えていたが、実は私達と同じ 感覚の持ち主だったということに、親近感を覚えた。 一部の超カリスマを持った人を除き、強いリーダーシップで率いることのできる規模は限られている。 やはり大きな組織に成るほど、リーダーに求められる資質はファシリテーターとしての能力なのかな。 (分からないけどね)



 FRB議長を辞めた今になっても、グリーンスパン氏の発言は注目されている。 当然、前FRB議長としての発言がどのように経済に影響をするか、慎重に言葉を選んでいるはずだが、この本を一回読んで発言を聞くと、発言の真意が見えてくるようで非常に楽しい。
 いずれにしても、ドキュメンタリーとしても面白いので、ぜひぜひ読んでもらいたい。