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木曜日, 9月 25, 2008

その日のまえに


 「重松清」。この作家の名前は、数年前に知人から本をもらうことで初めて知った。書かれる内容は、ほとんどが誰もが経験するような日常のできごと。当事者であれば感じるであろう心の動きが繊細に表現されており、それだけに心に響くものが多い。

 『その日のまえに』は、死をテーマにした短編の集まりとなっている。一つ一つの物語は、”同級生を失う小学生”、”突然に友を失う子供”、”夫を失う妻”、”母を失う家族”など様々な視点から死というものを捉えている。そして、最後の3つの物語の中で、これらが緩く繋がりあって物語り全体が完成している。

 『きよしこ』、『流星ワゴン』など、この作家の心に響く作品を読んできた。その中でも、この『その日のまえに』は一番私の心に来るものがあった。日常をテーマにしているだけに、感じ方は人それぞれであると思うが、必ず心を動かされる部分があるのではないだろうか。

 単に悲しいだけでない。上手く言葉で表すことはできないが、心に浸みる良さがある、そんな作品。

水曜日, 4月 16, 2008

ナイチンゲールの沈黙


 第4回『このミステリーが凄い!』対象を受賞し、映画/ドラマ化されたベストセラー『チーム・バチスタの栄光』の作者が書いた2作目の小説。タイトルからも分かるとおり、前作のチーム・バチスタ同様、病院を舞台としたミステリー小説となっている。

 前作と同じく、登場人物のキャラクタが立っており、それぞれの個性は面白い。しかし、ストーリー展開は前作のような驚きのあるものではないように感じる。読み進めて行く中で想像できた通りの結末になるあたりが、ミステリーを読んでいるつもりの私には不満が残る結果となった。

 ストーリーの鍵を握っている非現実的な部分などを踏まえると、作者はこの作品をミステリーとしてではなくSFとして書き下ろしたものなのかもしれない。しかし、SF小説として見るには舞台設定が前作と同様であるため、想像力を掻きたてられず面白みに掛けてしまう。

 結果としては不満の残る内容ではあるが、キャラクタ設定は非常に面白く次回以降の作品も読んでみたい。